このような声は、よく伺います。
どうして納得がいかないのでしょうか?
「常識的に考えておかしい!」
ごもっともです。
しかし、税務署は聞いてくれるでしょうか?
税金の額は、例えば、贈与の事実があると認められた場合に、その事実関係を税法に当てはめて、贈与税などの額が計算されます。
税務署は、ある事実があったことを確認したうえで、その事実が「税法に当てはまる」と判断したので、税金をかけることにしたのです。
ですから、いくら「常識的に考えておかしい」と言われても、税務署としても、どうしようもないのです。
杓子定規と批判されようとも、税法にのっとって淡々と計算するのが彼らのつとめ、なのですから。
考えてみてください。
ある税務職員が、税法には当てはまっているのだけれども、気の毒だから税金は課さない、とやったらどうなるでしょうか?
となり町のAさんは、税金がかからなかったけれど、わが街のBさんは税金がかかる、というふうに、不公平にならないでしょうか?
昔はそういうところがあったのかもしれません。
しかし最近は、元国税局長でさえ、脱税すれば逮捕される時代です。
この元国税局長は、次のように述べています(裁判所の判決文より)。
「元国税幹部の自分に対する税務調査はないであろう、仮にあっても修正申告をすることで済ませてもらえるであろうという『甘えと奢り』があったため、犯行を思い止まることはなかった」
結局のところ、彼は国税の後輩たちから追及され、裁判所から懲役1年2ヶ月の実刑判決を言い渡されています。
元国税幹部であっても、不公平な取扱いは許されないのです。
元来、国税庁は、たとえ個々の納税者から嫌われようとも、国民全体のために税務行政を正しく執行する、誇り高き職人集団なのです。
不公平な取扱いによって自分だけが甘い汁を吸おうとするのは、ごく一部の不心得者に過ぎません。
手心を加えてしまうことを恐れて、納税者が出したコーヒーすら飲まない調査官もいると聞きます。
そうではありません。
先ほど繰り返し、「税法に当てはまるかどうか」と述べてきました。
この、「税法に当てはまるかどうか」は、有力な税法学者や、最高裁判所の裁判官の間でも意見が分かれるほど、むずかしい場合があります。
つまり、税務署がつねに正しい判断をくだせるわけではないのです。
ですから、「常識的に考えておかしい」と言うのではなくて、「税法に当てはまらない」ということ(有利な規定の場合は「当てはまる」ということ)、言い換えますと、税務署の税法解釈に反論すること、によって、はじめて議論の土俵にのぼることができるのです。
「常識的に考えておかしい」場合は、税務署の税法解釈に無理(行きすぎ、強引さ)があるケースも少なくないでしょう。
この場合、正しく反論すれば、納得してもらえることも多かろうと思います。
しかし、やみくもに反論しても、勝負にはなりません。格闘技の有段者に、素人が立ち向かうようなものです。
強引な技をかけられたときに、素人ではそのまま投げられてしまい、下手に抵抗するとかえってダメージが大きくなることすらあったりしますが、ある程度の経験者であれば、その強引な技を返すことができる、のと似ていますね。
柔道の初段をとるためには、まず、受け身を覚えて、いろいろな技を覚えて、繰り返し練習して身につけ、実戦でそれらの技を出し、ある程度試合に勝てるようにならなければなりませんが、それと同様に、税務調査で勝てる見込みのある反論をするためには、それなりのトレーニングが、あらかじめ出来ている必要があります。
どういうトレーニングが必要かと申しますと、簿記や税務申告書の作成実務とは、また違ったものになります。
争いになったときに、どういう論理で解決策を導いたか、というケーススタディを数多くこなし、さらにその奥にはどのような原理原則があるのか、ということを頭にたたきこむ必要があります。
具体的には、租税法学の基本的な考え方にはじまり、憲法、民法、会社法など、税法以外の法律の知識や、過去の裁判例、裁決例、代表的な学説などなど・・・に習熟しなければなりません。
経験上、これらの知識をまともに使いこなせるようになるまでには、少なくとも1000時間~2000時間はかかるのではないか、と考えられます。そして、これらの基本トレーニングを踏まえて、個別事案の検討をしていくということになります。
ですから、現在税理士で、法律に強い税理士をめざしている方や、弁護士で、税法に強い弁護士をめざしている方が適任と考えられます。
現在、税理士は、税金の裁判において、弁護士を補佐する「補佐人」として裁判所に出廷することができることになっています。
この「補佐人」として活躍されている税理士や、このような税理士と協力関係にある弁護士であれば、「法律家として妥当な税法解釈を探求する」準備ができていて、税務調査の際にも頼りになるのではないかと推測されます。
あるいは、国税不服審判所(その名のとおり、国税に関する不服申立てを取り扱う機関で、裁判の前にこちらで審判が行なわれます。)に対する審査請求の実務を数多くこなしている税理士であれば、税務について法律的に論証する技術を日々磨いていると言えるでしょう。
ただ、なかなか「補佐人」になる機会も、国税不服審判所に審査請求を行なう機会も、いずれもそんなに多くはありませんので、このような税理士や弁護士をさがすのは難しいと思われます。
「税務調査に納得がいかないが、税理士からの説明にも納得がいかない」という不満の声は よく耳にしますが、「誰に相談したらよいか」という質問に応えられるものは、あまりないのが現状といえそうです。
ここから先は宣伝になってしまいますが・・・
本会は、「法律家として妥当な税法解釈を探求する」ための基本的なトレーニングができていると認められる専門家が集まり、さらに相互に研鑽をはかることを目的とするものですから、「誰を選んだらいいのか分からない」という際にひとつのご参考にしていただければ幸いに存じます。
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