所得税法のブックレビューのページ
昔の私は、所得税は年に1回しかないこともあり、その重要性を全く分かっておりませんでした。
ですが、金子先生の『租税法』、『ケースブック租税法』、そして本書で所得税法を勉強した今になっては、まずは所得税法を勉強すべきだ、と、あちこちで触れ回っております。所得税法は、租税実体法におけるいわゆる「一般法」的な位置づけにあるように思われ、きちんとした教科書で体系的に所得税法を学ぶことによって、法人税、消費税、相続税等の理解も一層、確実に深まるであろう、と考えるからです。所得税それ自身の問題を考えるにあたっても、きちんと勉強をする前とした後では、もはや別人と言っていいほど対応能力が進歩したように思います。
本書は、一見きわめて軽いノリで書かれているように見えるのですが、その内容はふつうにヘビーです(変な表現ですみません)。真剣に所得税法を修めたいというニーズに十分応えるものでした。私自身、完全に理解できたとはまだまだとても思われないのですが、所得税法の勉強、ひいては、租税実体法の一般法の勉強の題材として、いまのところ本書以上のものを知りません。
「帰属所得」という言葉を聞いてピンと来ない税務関係者の方は、今すぐ本書を手に取られるべきでしょう。